2025/04/25

2025年第1戦 岡山国際サーキット(岡山県)

第1戦 岡山国際サーキット(岡山県)

ANEST IWATA Racingは、4月12日(土)から13日(日)にかけて岡山県の岡山国際サーキットで開催された「2025 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE」のGT300クラスに参戦した。今シーズンの幕開けとなる本大会は、各チームがオフテストで積み上げてきた全ての成果を一斉にぶつけ合う、極めて重要な一戦である。

■公式練習セッション(4月12日・土曜日)

午前中に行われた公式練習には、柔らかな春の日差しがサーキット全体を包んでいた。先月の合同テストから流れを維持したANEST IWATA Racingは、イゴール・フラガがステアリングを握り、1分25秒427という堂々たるタイムをマーク。3番手に食い込む力強い走りを見せ、チームの士気を大いに高めた。今回、持ち込んだ2種のタイヤのうち、とりわけ路面温度が高い状況に適合するスペックを選択し、見事なパフォーマンスを引き出した。加えて安田裕信も、中古タイヤ装着のまま安定したタイムを叩き出し、ロングランでのレースペースの良さとコンディションの順応性を証明した。

セッティング面では、持ち込み初期の状態から一度フロントのスプリングレートを変更したものの、即座に元の仕様へと戻すなど、ほんの小さな調整のみにとどめた。合同テストの好調をそのまま引き継ぐ形で、チームは迷いなく走り出すことができた。

■公式予選(4月12日・土曜日)

午後に行われた予選Q1セッションでは、安田がドライビングを担当。午前とは一転し、気温が大きく下がったことで路面状況も一変した。安田は1分26秒115というタイムでB組11番手となり、惜しくもQ1敗退。スターティンググリッドは21番手となった。セッション後、安田は「タイヤの内圧が期待したほど上がらず、午前中に得られていたグリップを再現できなかった」とコメント。岡山・富士での事前合同テストが悪天候に見舞われた影響もあり、今回がレクサスRC F GT3での本格的なニュータイヤアタックとなった安田には、思うようにコンディションが対応しきれなかった。さらにチームとして、午前中の好調を踏まえてイゴールをQ2に温存する戦略を選択した。しかし、現時点では安定してQ2進出や上位グリッド獲得を狙える余裕はなく、1戦ごとに目前のチャンスを最大限に生かしていく、そんな粘り強さが求められていた。

■決勝レース(4月13日・日曜日)

決勝日の岡山国際サーキットは朝から一転して雨模様となった。ヨコハマタイヤのウェット性能に未知数が残る中、レースを戦う上で天候が最大の不安要素に。加えて前日23度にまで達していた気温が15度まで急降下。準備してきたタイヤの作動温度を大きく下回る難コンディションがチームを襲った。

一方、天気予報では決勝スタートの13時過ぎには雨が止むとの予測。しかし現実にはスタート直前になって雨足はむしろ強まり、混乱を孕んだ状況下での戦いとなった。スタートドライバーはイゴール。13時10分、レースはセーフティカースタートで幕を開けた。レース開始直後も断続的な雨が続き、コース上では複数台の車両がアクシデントでリタイヤ。21番手スタートだったANEST IWATA Racingは、その混乱に乗じて19位までポジションを上げることに成功した。しかし、他チームに比してウェットタイヤのグリップが安定せず、イゴールはペースを掴みきれぬまま20位前後での走行が続いた。無線で「タイヤがグリップしない」との報告が入るも、イゴールは荒れるウエット戦を堅実かつ粘り強く走り続け、中盤までトラブルなくマシンを運んだ。

やがて雲が流れ、徐々に雨脚が弱まって路面コンディションも改善し始める。ここでチームは当初から決めていた「可能な限り長くイゴールがステイアウトし、他車が先にピットに入るのを見定める」戦略を徹底。ライバルが続々とピットでタイヤ交換を行う中、イゴールは49周目まで我慢強く走り抜き、3分の2を消化したところでついにピットイン。この時点でコース上はほぼドライへ移行しており、ここでチームは大胆にスリックタイヤを選択、通常のガソリン給油とともにドライバーを安田に交代させて再スタートを切った。

 

他の多くのチームはまだウェットタイヤを装着したまま復帰していたが、安田がコースインしてから3~4周もすると、路面の乾きとともにドライタイヤが明らかにウェットタイヤ勢を上回るラップを連発。ウェットタイヤ勢は2度目のピットインを迫られることになり、ポジションが激変した。安田はピットアウト直後こそ14~15番手だったが、着実に順位を伸ばし、気付けば3番手にまで躍進。その後もレースペースは良好で、追従する集団を引き離す力強い走りを披露した。

迎えたレース終盤――トップ争いを繰り広げていた2台の車両が接触。コース外に止まった1台によって、ANEST IWATA Racingは2位に浮上。ここでセーフティカーが導入され、それまで築いていた後続との間隔は一気に詰まってしまう。しかし、セーフティカー明けも安田は落ち着いた走りと確かなスピードで対応し、最後は3位との差を約6秒まで広げる粘り強いラストスパートを見せ、そのまま2位でチェッカーフラッグを受けた。