ANEST IWATA Racing with Arnageは、11月2日(土)から3日(日)にかけて栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された2024年SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 300KM RACE」のGT300クラスに参戦した。チームの体制は、Aドライバーにイゴール・フラガ、Bドライバーに古谷悠河、車両はANEST IWATA Racing RC F GT3。
通常、シリーズ最終戦として予定されていたこのレースでは、サクセスウェイトが全車0kgにリセットされるはずだった。しかし、第5戦が8月末から12月に延期されたため、今回のレースではサクセスウェイトを半減する措置がとられた。モビリティリゾートもてぎのコースレイアウトは、RC F GT3の特性に最も合わないが、サクセスウェイトを半減した状態で上位車が出走したため、チームにとって一つのチャンスでもあった。
公式予選
天気予報通り、2日(土)のモビリティリゾートもてぎは朝から雨模様となった。午前9時からの公式練習セッションはヘビーウェット・コンディションで始まり、イゴールがレインタイヤを装着してコースイン。しかし、悪天候のためセッションは繰り返し中断し、10時35分にコースコンディションの悪化で打ち切られた。結果、ANEST IWATA Racing RC F GT3のラップタイムは出走27台中25番手だったが、イゴールと古谷ともにマシンの状態には良好なフィードバックを得た。
午後には公式予選がヘビーウェット・コンディションで実施された。GT300の公式予選は全車が参加するQ1セッションで上位14台がUPPERグループ、下位13台がLOWERグループに分けられ、Q2セッションで最終順位が決定される仕組みだ。
イゴールが出場した午後2時のQ1セッションでは、雨の中で6番手のタイムを記録し、Q2UPPERグループに進出。古谷が出場した午後3時31分のQ2UPPERグループでは14台中10番手となり、スターティンググリッドのポジションは今シーズンの最高位である10番手となった。
決勝レース
翌3日(日)、朝から晴天に恵まれたモビリティリゾートもてぎで決勝レースが行われた。チームは新たに投入するドライタイヤを持ち込んでいたが、前日はウェットコンディションのため試走ができなかった。決勝レース前、ウォームアップ走行の20分間でドライタイヤのセッティングを余儀なくされたが、古谷は8番手のタイムを記録し順調な仕上がりを見せた。
マシンの状況に手ごたえを感じていたチームはスタートを古谷に任せ、早めのドライバー交代で後半の追い上げを狙うアンダーカット戦略を採用することに。
午後1時7分、気温22℃、路面温度31℃というコンディションで決勝レースがスタート。古谷はオープニングラップの3コーナーから4コーナーにかけて前走車がバランスを崩し、それを避けるためにブレーキを踏んだ影響で順位が14番手まで後退。その後、上位車が脱落したため13番手に順位を上げ、ペースが上がらない前走車に迫るものの、オーバーテイクの難しいモビリティリゾートもてぎのコースレイアウトもあり順位を入れ替えるには至らなかった。古谷は19周目にピットインでイゴールと交代し、給油とタイヤ交換を行って猛追を狙う。
イゴールは21番手でコースに復帰。上位がピットインするたびに順位を上げ、28周目には13番手までポジションを引き上げた。しかし、この頃からブレーキに絡むマシントラブルが発生し、ペースが上がらなくなった。イゴールは無線でピットと相談をしながら走行を続けるものの、ブレーキにも関わるトラブルであり走行続行は危険な状態だった。
チームは安全のため、37周目でイゴールをピットに呼び戻し、点検を実施。修復が不可能と判断しリタイヤを決断した。
最終的に、37周を走りトップから22周遅れのため完走基準を満たせず、ポイント獲得はならなかった。順延されたためシリーズ最終戦となる第5戦は12月7日(土)から8日(日)に三重県の鈴鹿サーキットで開催予定である。
■正式結果
公式予選 クラス10位(参加27台)
Q1 2分00秒858(イゴール)
Q2 1分59秒408(古谷)
決勝 リタイア 37周(22周おくれ)
■コメント
Aドライバー:イゴール・オオムラ・フラガ
「古谷選手からクルマを受け継いでコースに出て、まずまずのペースに落ち着き、フィニッシュまではまだ周回数がありましたが、このまま最後まで走れれば選手権ポイントが取れそうだなと感じていました。ところが急にストレートスピードが伸びなくなり後のクルマに追いつかれて抜かれてしまいました。その後ABSのアラームも点きだして、ブレーキがちゃんとかかったり、かからなかったりするようになり、クルマの姿勢が不安定になってまっすぐの状態を保つのが難しい状況になったのでピットインを決めました。過去2レース、あまり良いレースができなかったので、快調だった今回は途中まですごく楽しかっただけに残念です。最終戦こそ良いポジションで完走したいです」
Bドライバー:古谷悠河
「朝のウォームアップで8番手のタイムが出せたので良い感じだなと思いました。決勝では僕がスタートを担当しましたが、ポジションをキープして1、2コーナーを立ち上がったら,その先で前のクルマがバランスを崩してスピンしそうになったのでブレーキを踏んだところ加速が鈍り、5コーナーに向けて両サイドから挟まれる形になって順位を落としてしまいました。トラブルは僕が走っているとこにも予兆のようなものがあって、ブレーキがちょっと変に感じることがありました。RC Fはこれまでむしろブレーキで勝負できるクルマだったんですがそれが今回は逆になっていました。でもRC Fが最も不得意なもてぎで、トラブルが出るまでは良い感じで走れたので、RC Fが得意な鈴鹿では良い結果が出せるのではないかと期待は膨らみました」
武田克己総監督
「今日は、予選10番手からのスタートで、選手権ポイント獲得が期待出来ると、ワクワクしながらレースを見ていましたが、マシントラブルでリタイアという非常に残念な結果になってしまい大変ショックを受けています。レース自体は想定通りの作戦で進んでいましたし、ペースも良かったのでこのままならば選手権ポイント圏内でフィニッシュできるという見通しでした。モビリティリゾートもてぎは、我々のマシンにとっては国内で最も苦手なコースですが、土曜ウェット、日曜ドライと変化したコンディションの中で高いパフォーマンスを発揮しました。シリーズ最終戦となる次の鈴鹿サーキットは一転して我々のマシンが最も得意とするコースなので、良い結果が出せると期待しています。最終レースできっちりと結果が出せるよう、できる限りの準備をしてレースに臨みます」