ANEST IWATA Racing with Arnageは、6月3日(土)~4日(日)、三重県鈴鹿サーキットで開催された2023 SUPER GT第3戦GT300クラスにANEST IWATA Racing RC F GT3で参戦しました。今回は前回に引き続き、SUPER GTシリーズの決勝標準距離300kmを1.5倍に延長した走行距離450kmのレースとして開催されました。
450kmレースでは3人目の選手の登録も許されるので、ANEST IWATA Racingは前回同様、Cドライバーとして小山美姫(25歳)を起用し、レースの展開次第では小山を投入する戦略も用意しました。使用するANEST IWATA Racing RC F GT3は、ダウンフォースが要求される鈴鹿サーキットに特性が適しており、チームはシリーズポイント獲得を目標にレースウィークを迎えました。
公式予選
前日まで台風の影響を受け天候が大荒れだった鈴鹿サーキットは、3日土曜日には晴れました。午前中のフリー走行ではまずイゴールがステアリングを握って走り始めました。しかし高速からコーナーへ向けブレーキングしてターンインするとフロントから姿勢が崩れる傾向があり、ピットインを繰り返してセッティングを微調整することになりました。フリー走行セッション後半は古谷が走行、マシンの状態を確かめてセッションを終えました。
午後の公式予選に向けチームはセッティングの調整を行い、Q1を迎えました。午後行われる公式予選Q1では14台が出走するQ1A組と13台が出走するQ1B組がそれぞれ10分間のタイムアタックを行い、上位8台ずつが公式予選Q2に進んでスターティンググリッド上位16枠を決める規則になっています。イゴールはQ1を担当、B組に出走しました。
インターバルの間にチームはセッティングを見直すとともに、一部駆動系に不調があることを発見し対応を行いました。このマシンに乗って走り出したイゴールは、3周に渡ってタイヤをウォームアップすると4周目にタイムアタックをかけました。その結果、出走13台中トップとなる1分57秒505を記録しQ1を突破することになりました。
勢いに乗ってQ2セッションに出走した古谷は、イゴール同様マシンの調子が好転したことを感じながらタイムアタックにかかりました。通常、路面コンディションが好転するQ2セッションではQ1セッションよりもタイムが伸びるものですが、古谷はミスなくタイムアタックを行ったものの、なぜかタイムはイゴールと同等にとどまり、順位はQ2出走16台中15番手となりました。
決勝レース
鈴鹿サーキットは4日日曜日も晴れましたが、午後の決勝レーススタートが近づくにつれ空には薄い雲が広がりました。午後1時30分、決勝レースがスタートしました。スタートを担当したイゴールは15番手のポジションを守ってレースを始めました。
長いレースを考え、早めのピット作業を行うライバル車をよそにイゴールは順位を3周目に13番手、5周目には12番手へと上げていきました。8周目にセーフティーカーが介入し、このタイミングでピット作業を行うチームも現れましたが、チームは敢えてピット作業を先送りして、レース距離を3等分してそれぞれのスティントで十分タイヤを使う戦略を守り、イゴールを走らせ続けました。
その結果、13周目にはイゴールの順位は8番手へ上がりました。同様の戦略を採る上位車は徐々にタイヤ消耗からペースが落ちていきましたが、イゴールは快調にペースを守ってオーバーテイクしながら更に周回を続け、15周目には6番手、19周目には4番手まで順位を上げました。
ここでチームはイゴールをピットへ呼び戻し、ドライバー交代は行わずタイヤ交換と給油のみを行ってコースへ送り返しました。しかしピット作業に時間がかかり、イゴールがコースへ復帰すると順位は23番手まで下がっていました。
イゴールは再びハイペースで追い上げにかかり33周目には17番手、37周目には15番手、38周目には12番手、40周目には8番手、41周目には6番手、42周目には4番手、そして44周目には2番手と順位を引き上げました。
チームは46周目にイゴールをピットへ呼び戻し、当初の予定通りこれで2回のピットイン義務を果たすとともにタイヤ交換、給油を行い、古谷にステアリングを引き継いでレースの残りを走りきる作戦でした。
しかし再びピット作業で予想以上の時間がかかったこともあり、古谷は20番手まで順位を下げてコースに戻り、そこからイゴール同様追い上げを始めることになりました。この時点でチームは少なくともポイント圏内でのフィニッシュを想定していました。
ところが古谷が55周目に入ったときコース上でアクシデントが発生し、事故処理の為にセーフティーカーが介入、結局赤旗でレースが中断された後、再スタートは行われず競技はそのまま打ち切られることとなりました。レースはおよそ75%を消化したところでした。結局、イゴール/古谷組は作戦通り追い上げて順位を回復することができず、17位でレースを終え、ドライバー部門でのポイント獲得はなりませんでした。なおチーム部門では3戦連続で完走ポイントを獲得、現在ランキング21番手につけています。
次回シリーズ第4戦は、8月5日(土)~6日(日)、静岡県富士スピードウェイで開催される予定です。
コメント
Aドライバー:イゴール・オオムラ・フラガ
「今回のレースではクルマの感触がとても良く、楽しく走れました。Q1でトップタイムを出したときは気持ちが良かったです。レースで1番になってこんな気持ちになったのは3年ぶりくらいです。まずはとにかくこういう結果が出せるチームなんだと、チーム全体のモチベーションが上がりますよね。決勝では、周囲のクルマに対してタイヤの”タレ”が進まなかったので、相手のペースが鈍るところでオーバーテイクが結構できました。ピットストップの度に順位が下がったのは、給油速度など作業でのロスもありましたが、ドライバーのアウトラップの走り方などにも課題が残ったと思っています。第4戦ではより良いレースをします」
Bドライバー:古谷悠河
「予選のタイムアタックは、自分でも納得いく走りでうまくまとめたつもりなんですが、思ったよりタイムが出なかったので腑に落ちません。Q1とQ2の間にコンディションが変わったのでタイヤの内圧で少し対応したんですが、かえって良くない方向へ行ってしまったようです。イゴールがQ1でトップなのにぼくがQ2で15位では格好悪いし悔しいですから、次はなんとかします。決勝ではすごく良いペースで走れました。周りのクルマはタイヤが消耗してペースが落ちていくのに、うちのクルマはまったく落ちずに走れてガンガン追い上げていけましたが、途中でレースが終わってしまい残念です」
武田克己総監督
「我々のクルマは特性上、鈴鹿サーキットに合っていたうえ事前に鈴鹿でテストできたのが良かったようで、Q1では素晴らしい結果が出ましたし、決勝でもイゴールと古谷選手が非常に良いペースで走ってくれ、今後に対する希望が膨らむレースでした。ただ、ポイントは十分獲れるレースだったので残念でもあります。セーフティーカーのタイミングが我々には裏目に出たうえ、ピット作業でもロスタイムが多かったのでドライバーには悪いことをしました。第4戦では今回の速さに、より磨きをかけて臨もうと思います」