RACE REPORT

2023年 第5戦 鈴鹿サーキット(三重県)

2023.08.27
ANESTIWATA Racing with Arnageは、8月26日(土)~27日(日)、三重県鈴鹿サーキットで開催された2023 SUPER GT第5戦GT300クラスにANESTIWATA Racing RC F GT3で参戦した。今回も前回に引き続き、SUPER GTシリーズの決勝標準距離300kmを1.5倍に延長した走行距離450kmのレースとして開催された。

低速コーナーと高速コーナーが組み合わせられた鈴鹿サーキットのコース特性は、ANEST IWATA Racing RC F GT3とヨコハマタイヤの組み合わせと相性が良く、パフォーマンスを引き出しやすいコース。
チームは、同じ鈴鹿サーキットで開催された第3戦及び好感触が得られた第4戦で得られたデータを改めて精査し、今回のレースウィークに向けたセッティングをまとめてマシンを鈴鹿サーキットへ持ち込んだ。

公式予選

記録的猛暑は続き、26日(土)の鈴鹿サーキットは前回の富士スピードウェイ同様、真夏の太陽が降り注ぐ晴天。

前回富士スピードウェイで開催されたシリーズ
第4戦の決勝レース中、セーフティーカー介入とオーバーテイクのタイミングが重なって黄旗追い越しのペナルティーを受けたイゴールには、
モラルハザード防止制度によって第5戦のフリー走行セッション90分のうち後半の1時間について走行を禁止する罰則が下されていた。

そこでチームはフリー走行セッションの序盤30分を使ってイゴールを走らせ、セッティングの確認を行う。セッション開始とともにコースインしたイゴールのコメントを受けてセッティングの微調整を進め、セッション後半1時間は古谷がステアリングを握って公式予選に向けた最終的な仕上げにて走行を終了した。フリー走行でのタイムはクラス25台中の2番手と好調だった。

午後の公式予選Q1では13台が出走するQ1A組と12台が出走するQ1B組がそれぞれ10分間のタイムアタックを行い、上位8台ずつが公式予選Q2に進んでスターティンググリッド上位16枠を決める規則になっている。
Q1A組に出走した古谷は13台中5番手のタイムを記録しQ2セッション進出を決めた。

16台で争われるQ2セッションはイゴールが担当。タイヤのウォームアップを終えたイゴールはタイムアタックに入り、コース終盤まではトップ3に達するペースで走行するが最終区間でタイムを落とし、1分58秒834で5番手となり、そのままANEST IWATA Racing RC F GT3のスターティンググリッドは5番手となった。
5番手のスターティンググリッドはチーム創設以来最高位となった。

決勝レース

翌27日(日)も鈴鹿サーキットは晴天となり、午後2時45分決勝レースが開始となった。イゴールはスタートを担当し、
5番手ポジションを守ってレースを始めた。
450kmレースの場合、レース中に2回のピットストップが義務づけられており、どのタイミングでドライバー交代、タイヤ交換、給油を行うかが戦略の要となる。
今回、チームはスタート後まず規則上最小限の周回数だけ走ってピットインし、最小限の給油のみ行いタイヤ交換もドライバー交代もせずそのままコースへ復帰させ、レース後半でドライバー交代とタイヤ交換、給油のフルサービスを行って、全レース距離を2セットのタイヤで走りきる作戦をチームは決行した。こうすれば、タイヤ交換のロスタイムを1回分節約したうえでスタート直後の集団から抜け出し、自分のペースを守って走れるからだ。

イゴールはスタート後の規定周回数である5周を走ったところで5番手のまま作戦通りピットイン、残りのレース距離を考え最小限の給油を行った。
しかし最小限とはいえ決して燃費の良くないRC Fの給油時間は長く、さらにエンジン始動時にエンジンがうまくかからないというロスタイムが発生し、イゴールがようやくコースに復帰したときには同じ作戦を選んでピットインした後続2車に先行されてしまうことになる。

コースに戻ったイゴールは、ペースの遅い2車に前を塞がれる形になり、本来のペースで走れない。「ラップタイムは僕の方が多分1秒近く良いんですが、相手はストレートがとにかく速くて、そこで離されちゃってコーナーでは押さえ込まれてしまい、なかなか抜けないんです。抜くまでに時間がかかって、多分20秒近くロスしてしまいました。」とイゴールは当時の状況を語る。

ペースが上がらない間、ピットストップを遅らせた上位陣は本来のペースで走行を続けるため、目に見えない計算上の順位も徐々に下がり始める。イゴールは順位低下を遅らせるべく、前の車両をオーバーテイクするとペースを上げる。しかしスタート時から装着していたタイヤの消耗が進み、スタートから30周を過ぎる頃からグリップが急激に低下してペースが上がらなくなる。

イゴールは苦しい走りに陥りながら77周レースの36周を走って2回目のピットインを行い、ここでタイヤ交換と給油、及び古谷へのドライバー交代。コースに復帰した古谷が操るANEST IWATA Racing RC Fの順位は、レースも終盤を迎え全車が規則に定められた2回のピットイン義務を完了した段階で9番手となっていた。

チーム念願のシリーズポイントが獲得できるのは10位入賞車となる。
9番手の古谷はシリーズポイント獲得のためレース終盤、力走を続けるが、フィニッシュが近づくに従って、イゴール同様タイヤの消耗が急激に進むのを感じ、グリップ低下に苦しみ始める。後方からはペースの良い車両が接近しており、古谷は抜かれまいと走ったがタイヤの状況が回復することはなく、レース終盤にオーバーテイクを許して10番手へ後退となった。

その後古谷は消耗の進んだタイヤで苦しみながら走行を続け、ポジションを守りきって70周を走りきりチェッカーフラッグを受ける。10位入賞はチーム創設以来の最上位で、イゴールと古谷は初めてドライバー部門のシリーズポイントを1点獲得。またレースを完走した結果、チーム部門でも5戦連続で完走ポイントを獲得、チームランキングは27チーム中20番手を守り、ドライバーランキングでは初めてイゴール/古谷組が24組中23番手にランクイン。次回シリーズ第6戦は、9月16日(土)~17日(日)、宮城県スポーツランドSUGOで開催される。

正式結果

公式予選:クラス5位(出走25台) 
Q1: 1分59秒437(古谷:A組5位) 
Q2: 1分58秒834(イゴール:5位)
決勝:クラス10位(出走25台) 70周(1周おくれ)

コメント

Aドライバー:イゴール・オオムラ・フラガ
「予選では、最終コーナーをもう少しうまくまとめていたらポールポジションも見えたかなと残念ですが、450kmの長いレースを闘ううえで5番手はまずまずの結果だったと思います。
決勝では、最初のピットストップのときにペースが遅いクルマが前に出てしまい、完全に押さえ込まれてしまいました。オーバーテイクしてからは思いきり攻めましたが、タイヤの消耗が急激に進んで2回目のピットインをする直前には本来のペースより2秒ぐらい遅くなり、そこでも大きくタイムロスしてしまいました。今回のレースを振り返ると、いろいろ問題はありましたが、全部うまく行っていてもトップ5に行けたかどうか。ただ、今回の順位よりは確実に上へ行けるだけのポテンシャルは確認できました。それだけに、初めてのポイントは嬉しいけれどちょっと悔しいです。スポーツランドSUGOで開催される次の第6戦は300kmレースなので、もうちょっとシンプルなレースになって僕たちに結構チャンスがあると思っています。」

Bドライバー:古谷悠河
「走り出しはそこそこだったんですが、結構ロングスティントだったので、フィニッシュ前はペース的にちょっとしんどくなってしまいました。
イゴールのときと同様、あるタイミングを過ぎると崖のように、特にリアタイヤのグリップが急激になくなってしまうんです。そこからはペースが苦しくなりましたが、とりあえずギリギリだったとはいえポイントを獲れて良かったです。ただ、前回のレースのようにセーフティーカーが入ったために順位を大きく落としてしまうようなことはありませんでしたが、フルコースイエロー(FCY)では何台か前に行かれてしまったりもして、もうちょっと上位を目指して戦っていたのに悔しさもあります。
嬉しさ3割、悔しさ7割です。今回の何が良くて何がダメだったかをもう1回整理して、次の大会ではもっと上を目指せるように頑張りたいです。」

武田克己総監督
「鈴鹿はシーズン当初から、うちのチームとして狙い目、勝負どころかなと思っていました。
そのうえで、今回はリスク承知で、2セットのタイヤでレースを走りきることを含め、いろいろチャレンジングな作戦を選んで闘いました。確かにスタートポジションからは順位を落としましたが、作戦がうまくいったかどうかは別にして、しっかりとレースを戦いぬきシリーズポイントが獲れる順位で終われたことはポジティブに受け止めています。とにかくチーム全員が頑張って獲得した結果で、この流れを次に繋げたいと思います。
 今回は今回で新たな課題がはっきり見えたので、 それを解決して、次のレースに臨みます。スポーツランドSUGOも、クルマとの相性が良いコースなのでうちのチームにはチャンスがあるなと思っています。」
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