RACE REPORT

2024年 第2戦 富士スピードウェイ(静岡県)

2024.05.04

ANEST IWATARacing with Arnageは、53日(金)~4日(土)、富士スピードウェイで開催された2024 SUPER GT2 FUJI GT 3Hours RACEGT300クラスに参戦した。

 

これまでSUPER GTシリーズの決勝レースは2501000kmの距離で戦われてきたが、今回は新たな試みとして“3時間”という時間レースというフォーマットが選ばれた。走行距離は約500kmと想定され、各車決勝レース中に2回のピットストップを行うことになる。長時間レースに備え第3ドライバーが登録するチームもあったが、ANEST IWATA Racing with Arnageは開幕戦に引き続き、Aドライバーにイゴール・オオムラ・フラガ、Bドライバーに古谷悠河という2人体制でレースウィークに臨んだ。車両はANEST IWATA Racing RC F GT3である。

公式予選

岡山国際サーキットで開催された開幕戦で思うような操縦性が得られず苦戦を強いられたチームは、収集したデータを分析した。分析結果をもとに、今回のレースウィークに向けてミーティングを重ねて車両にセッティングを施し、富士スピードウェイへ持ち込んだ。その結果、3日(金)午前中に行われた公式練習セッションでは走り出しから操縦性の改善が明らかに認められた。一方で、乗りやすくなったもののラップタイムが想定ほどには向上しないという課題も見つかった。チームは公式練習セッションの時間を使って、タイヤの内圧を調整し車両とタイヤの特性を摺り合わせる作業を進め、公式予選に備えた。

 

しかし公式予選ではタイヤの内圧が上がりすぎて十分なグリップを得られない症状に苦しむことになった。Q1セッションを担当したイゴールとQ2セッションを担当した古谷の合計タイムは、ポールポジションから2740後れの314890にとどまり、スターティンググリッドはGT300クラス出走27台中20番手と決まった。

決勝レース

3時間の決勝レースは通常のレースより長距離となり、2回のピットストップが行われることになる。チームは公式予選後にデータを検証するとともに、1回目のピットストップ時にタイヤ交換をする際、可能であれば左側2輪のみの交換で終わらせ少しでもロスタイムを削減して順位を上げる戦略を立て、レースに臨んだ。

 

スタートはイゴールが担当した。午後136分にレースがスタートすると、20番手のイゴールは快調に周回を始め、1周目に18番手、2周目に17番手、3周目に16番手とポジションを上げていった。しかしライバルと激しくポジションを争っていた6周目のGRスープラコーナーでライバルと走行ラインが交錯して接触、イゴールはスピンしてコースに復帰したもののポジションを大きく下げてしまった。

 

さらにこの接触に対してイゴールにはドライブスルーペナルティが課せられ、ポジションは24番手まで後退した。走行しながらイゴールは改めて車両の状況を確かめ、1回目のタイヤ交換では左側2輪のみの交換作戦が可能であると判断、無線でピットと相談のうえ28周目にピットイン。ドライバー交代はせずに給油を行うと左側2輪のみにニュータイヤを装着してコースへ復帰した。一旦順位は下がったがイゴールは少しずつ順位を上げ63周を走ってピットインした。

 

ここで給油と4輪ニュータイヤへの交換が行われ、イゴールに替わって古谷がマシンに乗り込んだ。コースに復帰した古谷は、今年初めてニュータイヤでのレースとなったので、感触を確かめるのに時間がかかったものの少しずつペースを上げ、順位を徐々に上げていった。

 

特に終盤は、タイヤを使い果たしてペースが落ちたライバル車をコース上でオーバーテイクして、最終的にはGT300クラス14位まで進出。106周を走りきりチェッカーフラッグを受けた。シリーズ第3戦は61日(土)~2日(日)、鈴鹿サーキットで開催予定。

正式結果

公式予選 クラス20位(参加27台) 

Q1 Gr.A: 137315(イゴール) 

Q2 Gr.2: 1分37秒575(古谷)

決勝 クラス14位(出走27台) 106周(2周おくれ)

コメント

イゴール・オオムラ・フラガ

車のフィーリングは岡山と比較するとずっと良くなったんですが、なぜかパフォーマンスが伸びなくてタイムが期待ほど良くならない、という感じでした。レースでは序盤、上手いこと追い上げられていたんですけど、ポジションを争っている過程で前の車と接触してしまい、ドライブスルーペナルティを受けたことがレース結果に響いてしまいチームに申し訳なく思っています。最終的な順位は残念に終わりましたが、何かが見えてきたという手応えはありました。クルマのバランスは仕上がってきたので、後はタイヤをどう使えばいいのかが課題です。次のレースが行われる鈴鹿サーキットは、僕らの車と相性が比較的良いサーキットなので、もっと上位に行けるよう頑張ります。

 

古谷悠河

開幕戦に比べるとクルマのバランスがかなり良くなっていると感じました。ただ、その感触の割にはタイムが出ないという問題があり、結果的には予選も決勝も周りの車と比べてちょっとペースが足りないという感じで終わりました。決勝でイゴールからクルマを引き継いで、今年初めてのニュータイヤに慣れてからは自分でも納得できるペースで走れました。何度かコース上でオーバーテイクして順位を上げることができましたが、上位に追いついて行くまでのペースはありませんでした。感触としては開幕戦の岡山より1歩も2歩も前進していると思うので、この勢いで鈴鹿を迎えたいと思います。岡山と富士に比べると鈴鹿はRC Fと相性の良いサーキットなので、もう少し上の順位を狙えると期待しています。

 

武田克己総監督

富士スピードウェイはアネスト岩田の地元である横浜から最も近いサーキットなので、我々のレース活動に興味を持っている社員や関係者を150人ほど応援席に招待しました。また、2輪の業界で有名な平嶋夏海さんには応援団長として駆けつけていただき、みんなでチームを応援してもらいました。
観客応援
観客席で見るだけではなく、
5人から101組でピットの見学もしていただき非常に好評だったとスタッフから聞いています。一方、レースでは、クルマとタイヤのコンビネーションが難しくて予選では20番手と厳しい結果に終わりました。決勝に関しては普段より長いレースになるので、長い時間をどう走り、どのように上位を狙おうかと作戦を選び、結果的に20番手スタートから14位フィニッシュできましたから、チームもドライバーもみんなよく頑張ってくれたと思っています。次の鈴鹿は、クルマとの相性が比較的合っているコースなので、なんとか今日よりも上を目指したいと思っています。今回は途中スピンするなどもありましたが、開幕戦の岡山に続いてきちんと完走でき、我々1番の目的である“レースを走りきる”ということは達成できましたから、次もまずは走りきることを目標として、今回よりも良い成績になれればと思います。
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